【太陽光発電設備をめぐる税務】

2012年から始まった再生可能エネルギーの固定価格買取制度により太陽光発電による売電事業が本格化しました。
家屋の屋根や遊休地を利用して太陽光発電による売電事業を始めた個人の方も多いようです。

ここで、太陽光発電設備をめぐる税務を確認します

1 所得区分
 個人の太陽光発電による売電事業収入は所得税の課税対象でとなる収入です。
 所得税は公平な課税のために所得を10区分しています。太陽光発電による売電事業は事業所得、不動産所得又は雑所得のいずれかになります。
 納税者にとっては事業所得>不動産所得>雑所得の順で課税が緩くなります。

 不動産所得となる場合
 個人事業者が不動産賃貸業を営み、その家屋の屋根で太陽光発電事業を行う場合は不動産所得となります。

 事業所得となる場合
 ・他の事業所得の付随事業の場合
 ・社会通念上事業と認められる場合。具体的な例示は次の通りです。
   電気主任技術者の選任を行っている場合(出力量50kW以上の場合)
   出力量50kw未満の場合では、
   土地の上に設備を設置した場合で当該設備の周囲にフェンス等を設置しているとき
   土地の上に設備を設置した場合で当該設備の周囲の除草や当該設備に係る除雪等を行っているとき
   建物の上に設備を設置した場合で当該設備に係る除雪等を行っているとき
   賃借した建物や土地の上に設備を設置したとき
   (注)自己の建物の上に設備を設置した場合で特段の管理を行っていないときは、雑所得になります。

 雑所得となる場合
 給与所得者が行う太陽光発電事業で事業所得や不動産所得とならない場合は雑所得です

2 減価償却
  機械及び装置 耐用年数省令別表2「23 輸送用機械器具製造業用設備」として、耐用年数は9年です。

3 特別償却
  エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却が受けられます
  この場合、通常の償却に加えて発電設備の取得価額の30%を事業の用に供した年に償却できます(早期償却)。
  なお、平成25年4月1日から平成27年3月31日までに取得した認定発電設備については取得価額の全額を償却できます  

  適用要件
  青色申告の事業者であること。つまり上記1の事業所得とならなければなりません
  太陽光発電が資源エネルギー庁の認定を受けた認定発電設備であること※1
  認定発電設備の出力量が10kw以上であること。事業所得の付随事業である場合です
  一定の明細書を添付すること
  ※1 平成24年5月29日以降取得の発電設備について適用

4 償却資産税
  通常の償却資産と同様に償却資産税が課税されます

5 小規模宅地等の特例
  相続または遺贈で取得した宅地に対しての評価の特例です。適用ができれば最大400㎡まで80%の評価減ができます。

  条件として、発電設備を施設する宅地が“構築物”の敷地に使われていなければなりません。
  構築物に当たるかは、容易に撤去できず又は処分面で制約があることが要件です  

  具体的には次の通りです。
  1杭を地面に打ち込み架体を固定するもの
  2パイプを地面に埋め込み架体を固定するもの
  こういった施設工法であれば構築物と認定されそうです
  一方、3コンクリートブロックを地面に設置し架体を固定するものでは構築物とならないようです。
  
  アスファルトなどで舗装している場合を構築物と認定できる可能性は高いですが、総合勘案して判断する必要があります

(参考)
国税庁HP
経済産業省資源エネルギー庁HP(http://www.enecho.meti.go.jp/category/others/green_tax/greensite/green/)
税務通信no3343 p7-p8