【太陽光発電と事業所得】

~前回の続き~

太陽光発電事業の中には、事業開始後数年間は損失となることを見込み、その結果、損益通算を利用して課税所得を大幅に減らすスキームがあります。

例えば、2500万円の太陽光発電施設を取得し、事業に供したとします。
耐用年数は17年です※1
償却方法を定率法として償却方法選択の届出書を提出します※2
売電収入が年間180万円※3
初年度償却資産税35万円
初年度減価償却費295万円
以上により,初年度差引所得 △150万円
損益通算により所得税率23%住民税率10%ならば※4、△49万円の租税負担減少となります※5

2年目から5年目も事業所得は損失となり、5年間合計で△133万円という多額の租税負担を減らすことになります。

そして6年目に太陽光発電施設を売却し投資資金を回収します。譲渡所得は長期譲渡に該当し、資金回収コストを抑制します

このような事業の所得が、所得税法の事業所得となるでしょうか?

事業所得とは①自己の計算と危険負担、②営利性、③有償性、④反復継続的遂行意思、⑤社会的地位が客観的に認められなくてはなりませんでした。

これに基づき上記スキームを検証します

①自己の計算と危険負担
売電収入および経費支出が個人に帰属し、かつ、投資資金を個人が負担していますので、問題はありません。

②営利性
事業の営利を目的とせず、租税回避を目的にしているとも考えられます。営利性には大きな疑問があります※6。

③有償性
経費支出が個人であるので、問題はありません

④反復継続的遂行意思
途切れず5年間事業を遂行しているので、問題はありません

⑤社会的地位が客観的に認められるか
最終的に「社会的通念」で判断することになります。

私は、太陽光発電という事業に営利性を求めず、むしろ損失であることを求めているところに、このスキームは事業所得に該当しないと判断します。

したがって、事業所得ではなく、損益通算のできない雑所得として認定されると考えます。

ところで、太陽光発電事業はこのような租税回避のスキームだけではありません。また、最近資源エネルギー庁から事業所得該当性の見解が発表されました。

次は、事業所得に該当する太陽光発電事業を確認いたします(続く

※1 減価償却資産の耐用年数省令別表第二55「前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの(その他設備(主として金属製のもの))」
※2 事業者が既に定率法以外の償却方法を選択している場合は、太陽光発電事業開始の年の3月15日までに届出書を提出する。事業者が新規で太陽光発電事業をする場合は、その年の確定申告書提出期限までに届出書を提出する
※3 大手発電事業O社の事業計画より
※4 給与収入約950万円~1170万円程度(基礎控除のみ)
※5 1,350,000×33%=495,000
※6 営利とは「金銭的な利益を得ようとすること。利益を得る目的で,ある活動をすること。」(大辞林第三版) とあります。租税負担減少を目的とした営利行為を税制がいかに今後検討します。