【事業所得】事業所得とはなんでしょうか?所得税法27条1項によれば「事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生じる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く)をいう。」とされます。では、事業とは何でしょうか?所得税法施行令63条各号によれば「1農業、2林業及び狩猟業、3漁業及び水産養殖業、4鉱業(土石採取業を含む。)、5建設業、6製造業、7卸売業及び小売業(飲食店業及び料理店業を含む)、8金融業及び保険業、9不動産業、10運輸通信業(倉庫業を含む)、11医療保険業、著述業その他サービス業、12前各号に掲げるもののほか、対価を得て継続的に行う事業」とされます。それでは、上記、所令63各号に該当する事業からの所得は、必ず事業所得になるのでしょうか?

 その前に、所得税法では所得を10種類に分類しています。利子・配当・不動産・事業・給与・退職・山林・譲渡・一時・雑です。これら10種類の所得の内、事業所得、不動産所得、山林所得及び譲渡所得は損失となった場合に他の所得と合算することができます※1。例えば、事業所得の赤字は給与所得と合算されます。これを損益通算と言います。

 ここで具体的事例を考えてみましょう。サラリーマンが多額の交際費で常に赤字の副業をしていたとします。給与は年間300万円で副業が年間△200万円だとします。ここで副業が事業所得であれば、損益通算の結果このサラリーマンの合計所得は100万円となります(300万円-200万円)。ところが、副業が事業とは認定されず雑所得であれば、損益通算はされずに合計所得は300万円となります。

 この通り事業所得であるか否かは損益通算ができるか否かという意味で、所得税に決定的な影響を与えることがあります。そして損益通算を悪用した租税回避があります。かつて問題となった航空機リースや、現在もある船舶リースといった組合を利用した租税回避スキームも損益通算を利用しています。

 最近よく耳にするのが、太陽光発電を利用した損益通算スキームです。このスキームの詳細は次の通りです。一定規模の零細地に太陽光発電を設置します。初年度は多額の設備投資があり、また国が用意した税制優遇措置※2を利用した結果、事業所得は大きく損失となります。その結果、給与所得が損益通算され初年度の課税所得が大幅に減少します。また、初年度のみならず多額の減価償却が計上される期間は事業所得は損失となり、初年度同様に損益通算されます。そして、取得の日以後5年超経過した後に、太陽光発電施設を売却し、長期譲渡所得として申告します※3。

 こうした事業からの所得も、必ず事業所得になるのでしょうか?(続く

※1 不動産所得の損益通算は一定の制限があります
※2 エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却
※3 長期譲渡所得はその譲渡益の1/2が総合課税される。