【事業所得の意義】

~前回からの続き~

所令63各号に列挙されている事業は、いわゆる「日本標準産業分類」で設定されているものと一致します。ただ「日本標準産業分類」の目的は「日本の産業に関する統計の正確性と客観性を保持し、統計の相互比較性と利用度の向上を図るために…設定されたもの」※1とあるところから、事業所得の判断基準とされるべきものではないことは明らかです。

所得税施行令64条においても、12号で「前各号に掲げるもののほか、対価を得て継続的に行う事業」と包括的規定を定めているところから、結局、所令64条で「日本標準産業分類」の事業を列挙したのは、例示のための列挙であることが理解できます。

つまり、事業所得であるか否かは、その事業の種類で判断するものではないということになります。それでは事業所得であるか否かの判断基準はどこにあるのでしょうか?

今から30年ほど前に弁護士業務が給与所得か事業所得かで争われた、昭和56年4月24日最高裁判所第二小法廷判決があります。これは事業所得を考える上でのメルクマールとなる判例です。この判例で事業所得を次の通り定義しています

「事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続的に遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得」

したがって、①自己の計算と危険負担、②営利性、③有償性、④反復継続的遂行意思、⑤社会的地位の5つが客観的に認められなくてはならないことが示されています。

それでは、改めて「太陽光発電を利用した損益通算スキーム」を考えてみましょう。(続く)

※1 平成4年10月29日神戸地裁判決(判タ814号146頁)
参考文献
酒井克彦「人的役務提供の対価に係る事業所得の判断要素」(2006)月刊税務事例通算437, PP50-57
秋山友宏「給与所得と事業所得の境界線の判断ポイント」(2006)税理通算49, PP129-138
森田純弘「給与所得と事業所得の区分」(2010)税務弘報通算58, PP67-73
林仲宣 「判例研究 給与所得と事業所得の区分」」(2009)税法学通算561, PP295-308
青木茂 「所得税の諸問題 給与所得・事業所得・資産所得の間の公平をめぐって」ジュリスト(1974)通算567, PP14-29
中川尚 「最近の事例から探る事業所得・雑所得の区分とその税務トラブル」(1999)税理通算42,PP152-156