【役員賞与で節税のうそ】
今回は、ネットでよく流れている役員賞与で節税のうそを解説いたします
1 旅費規定で節税のうそ 危険度100(解説ずみ)
2 役員賞与で節税のうそ 危険度200
3 業務委託にして節税のうそ 危険度200
2 役員賞与で節税のうそ
このうそは、なんと税理士Youtuberが配信していますので要注意です。
内容は
①事前確定届出給与の届をし、役員賞与出すことを定める
②仮に、業績が悪い時は、役員賞与を出さない
③これにより、
事前届出の役員報酬賞与で損金を多めに枠取りをし、都合良く支給をやめて利益調整を図る
というものです。
ひどいでたらめです。
最初に
①の事前確定届出給与の説明が必要となります
これは、事業年度開始の4か月以内(定時株主総会後1か月以内)に、役員の月額報酬や役員賞与を、いつ、いくら支給するかを定めて税務署に届け出るものです。
定めた支給日を変えたり、支給額を増額あるいは減額したりすることは許されませんが、この届に従い、正確に(定めた支給日と支給額を完全に合わせて)支給した場合は、役員賞与であろうとも損金扱いとなります。めでたしめでたし。
ここまでは正しいです
問題は
②の業績が悪い時は、役員賞与を出さない(役員報酬を減額する)というところです
YouTubeなどの配信では、業績が悪い時は役員賞与の不支給や役員報酬の減額ができると断言しています
まったくのでたらめです。大ウソ。
たしかに
特別な事情で、定めた役員報酬賞与の減額改定ができる場合があります。
一つは、臨時改定事由(法令69①一ロ)
一つは、業績悪化改定事由です(法令69①一ハ)
臨時改定事由とは
例えば役員が死亡したり、退職したりしたように、支給する理由がなくなった場合です。とてもシンプル。
業績悪化改定事由とは
これは、単なる、利益が見込みより少なかった程度ではまったく理由になりません。だからといって大きく利益が減った場合でも理由になりません。利益減少の規模の問題ではありません。
例えば、担当取締役が死亡した。重要な取引先が倒産した。利害関係者(特に銀行)の圧力により減額せざるを得なかった。という客観的に明確で、重大な理由の存在がなければなりません。なお、コロナ禍においての減額改定はこの事由で認められました。
したがって
単なる、見込み違いで業績が悪かった程度の理由で、役員賞与の不支給や減額改定など絶対に認められません。
100%否認されます!
そして、部分的ではなく、事前に定めた1年分の役員給与賞与のすべてが否認されます
さらに、支給した給与の所得税住民税については課税されます
裁判例も多く出ています
例えば東京高等裁判所(令和6年10月2日)では、「事前の届出額と異なる金額の役員給与が認められれば、支給額を高額に定めて事前確定届出給与に関する届出を行うことで、その後、届出額より減額した額を支給して損金の額を操作し、法人税の課税を回避するなど、事前確定届出給与制度を設けた趣旨を没却し、課税の公平を害する恐れが生じる」と指摘して、届出給与の全額を否認しました
危険度200
納税者としては、YouTubeで流れる節税情報に飛びついてしまうことは仕方ありません。
ただ、ネットの情報は閲覧稼ぎで、いい加減な情報が多いことも理解しているはずです。
つまみ食い知識は大変に危険です!
河原会計事務所の契約者に置かれましては
税理士を上手に活用してください
YouTubeなどで疑問に思ったこと、本当なのか、自分でも適用できるのかなど
税務に関係のないことでも、休日深夜構わず躊躇なくご連絡ください
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